第二十三回。箱代・運賃に影響する【スライドブリスターの凸の位置】知っておいて損はなし。
3か月ほど前、第四回のブログで成形費用に関することを書きました。
あれからかなり時間が空いてしまいましたが、久しぶりに費用に関することをお話しいたします。
スライドブリスター用の台紙を作るにあたって、メインである製品(凸部分)をどこにレイアウトするかをまず決めると思います。
その位置に関してちょっとしたことを知っていると、生産費用を上げずに済むことがあります。
今日は、箱代・運賃に影響する【スライドブリスターの凸位置】の話です。
第四回「真空成形用プラスチックの規格サイズ-【ロール編】巻いてあるから速いんだ」
目次
スライドブリスターの折り曲げしろと製品位置の関係。
スライドブリスターは台紙を滑りこませるために、3辺ないし2辺を折り曲げることが普通です。
折り曲げ機械がそのような仕様になっています。
4辺全てを折ってあるスライドブリスターも見ますが、それは3辺+1辺の2工程を経ています。
折り曲げしろの長さと幅は?
一般的な話をします。
簡単なイメージ図を作成してみました。
長さは?
長さは、両端から各々10㍉程度を逃げた残りの長さとなります。
折り曲げ加工は、機械が成形品に加熱し力をかけて折り曲げます。
その際に、折り曲げる辺の両端から10㍉程度以内のところが熱がかかりづらくなります。
熱が上手くかからないときれいに折れず、開いたような見栄えになってします。
そのため、この部分をあらかじめ逃がしておくのです。
幅は?
幅は、折り曲げ前で7~10㍉程度が一般的ではないかと思います。
これ以上細くなると機械にセットする際に外れやすくなるようです。
そのため、現場からが7㍉以上ほしいという声を聞きます。
台紙に対する製品の理想的な位置。
折って裏面に回った折り曲げしろが、凸部分とかぶらないというのがポイントです。
折り曲げしろが10㍉ならば、折り曲げ線から9㍉離す。
折り曲げしろが10㍉ならば、折られて裏側にまわる幅は9㍉以下でしょう。
滑り込ませる台紙の厚み分は最低あけて折りますから、その分狭くなります。
つまり、左右下の3辺を折り曲げる仕様の場合、各折り曲げ線から9㍉離したところに凸(=製品を入れる部分)を位置すれば、折り曲げしろはかぶらないということになります。
なぜ、かぶってはいけないのか?
折り曲げられたスライドブリスターはスタック(stack)されて、箱に詰められます。
この時に、凸部分は1枚上のブリスターの凸部分の裏側に入るような形で積み重なります。
では、1枚上の凸部分に折り曲げしろが被っていたら?
この図のイメージです。
オレンジの部分が折り曲げしろと重なってしまった部分です。
裏側をふさいでしまうことになるので、次のブリスターは重ならないですよね。
結果、ブリスターは重ならず、箱の入り数が極端に少なくなってしまいます。
つまりそれは、梱包代と送料を上げてしまうということに他なりません。
では、どうしたら良いのか?
凸(=製品を入れる部分)の位置をズラすことが可能ならば、それに越したことはありません。
しかし、そういう場合ばかりではないのが現実です。
こうしましょう。
凸部分にかぶらないように折り曲げしろの形状を変更する。
凸部分と折られた折り曲げしろがどうしてもかぶってしまうレイアウトならば、被っている部分をなくしてしまいます。
つまり先程のイメージ図のオレンジの部分を折り曲げしろから削除してしまいます。
そうすれば、この図のように折り曲げ部分を確保しながら、箱の入り数を少なくすることを避けることができます。
折り曲げしろを変形させることは、全てでOKなのか?
折られて裏面にまわった折り曲げしろは、すなわち台紙の受けとなります。
その受けが極端に狭かったら?
いち部分なら問題ありませんが、それが大部分となるとやはり心もとなくなりますよね。
加えて、抜型の製作費用にも影響してくる場合が出てきます。
抜型は刃を曲げて作っていきます。
曲げずにまっすぐなまま土台に組み入れることができれば、職人さんも楽でしょう。
楽ということは、費用を抑えられるということです。
それが凸部分を逃がすために刃を曲げていかなければならないとしたら。
知っておいて損はなし。
これまでお話してきたようにスライドブリスターの製作において、折り曲げしろと製品位置との関係を無視してもモノは作ることはできます。
ただそれを知っていて考慮に入れるか否かで、かかる費用に違いが出て来る可能性があるということをご理解いただけたのではないかと思います。
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