第四十二回。【おめんを語ろう・その2】作り方は色の着け方で変わる。

第四十二回。【おめんを語ろう・その2】作り方は色の着け方で変わる。

お面の制作工程や、新規で発売される製品の話などを中心にお話して いく【お面を語ろう】

第二回目は、「お面の作り方を大別するとどうなる」という話です。 分け方は着色の仕方。難しい話は置いといて、今回は画像をご覧でその違いをイメージでつかんで頂ければと思います。

まずひとつ目「彩色塗装

 

・tofuboy お面

tofyboyお面。クリエイターの鈴木旬さんがハンドメイドで作ったお面です。

この画像はクリエイターの鈴木旬さんが自作された「tofuboy」のお面です。うちでは成形の部分のみお手伝いしました。お面の自作、それも初めてでここまでやるかと感心させられた一品です。

このお面に関しては「マスクギャラリー」でも取り上げさせて頂いています。

当時、この時の作業風景も鈴木さんから画像を頂きました。

tofuboyのお面は彩色塗装にて着色されました

ご覧のとおり、着色は彩色で行われています。1枚1枚手吹きとなります。

ちなみに、わたしの周辺では「塗装」とは言わず「彩色」と言っています。作業する人間も彩(あやど)るという感覚で塗装するのでしょう。

彩色塗装は1枚1枚職人による手吹き。バラツキも味になる

わたしが彩色の良いところと思う点。意図的なぼかしがきれい。意図的でないぼかし(吹きこぼれ)に味が出る。前者は頬のぼかし、後者は帽子の吹きこぼれ。全てが同じではありません。

わたしが彩色の難しいところと思う点。 手加工のため製作に時間と費用がかかる。最近では彩色のお面がとんと減りました。縁日で見かけたならば、記念に買っておいてもよいかもしれません。

もうひとつ。光沢が天候(=湿度)に左右されやすいこと。彩色でのお面を作るならば、ベストシーズンは「晩秋から早春にかけて 」とわたしは思っています。

ふたつ目「印刷+成形合わせ

・こち亀両さんお面

こちかめ両さんお面はシルク印刷を成形で合わせて作りました

このお面は(株)イトオー様より依頼を受けて作製した「こち亀両さん」お面です。画像の使用に関してはご了承を頂きました。本当にありがとうございます。

このお面も「マスクギャラリー」に掲載させて頂いております。スタンダードなサイズのもの、手のひらサイズのもの(でこ面)となんども登場してくれています。ちなみにこのお面は、手ぬぐいの色違いで2種類あります。

このお面は、印刷と成形を組み合わせて製作しています。成形の伸び縮みに合わせて元のイラストデーターを修正し、最終的な印刷データーを作り直しました。

こち亀両さんお面印刷用データー作り

成形用の印刷データーは、形状の厚みを補うように作られるため型よりも大きくなるのが常です。

両さんお面色違い。手ぬぐいの絵柄がしっかり出ています。

わたしが印刷合わせの良いところと思う点。数が出る品物では、時間的に費用的に彩色塗装とくらべ優位性が出てきます。準備段階では時間にはさほど違いが出ませんが、本生産が始めると日々あがる数量に差が出始めます。

もうひとつ。絵柄や文字のラインがしっかり出ること。この両さんのお面で言うと、手ぬぐいの模様。この細かい模様を彩色塗装で行おうとすると、吹きこぼれでボケボケになりかねません。

もうひとつ。速乾性の塗料を自然乾燥で使う彩色塗装に比べ、光沢が天候に左右されにくいこと。

わたしが印刷合わせの難しいところと思う点。 印刷物を加熱・柔らかくしたのち成形と合わせるため、絵柄と形状がズレやすいこと。

もうひとつ。彩色塗装に比べて味が出づらいこと。

「彩色塗装」と「印刷合わせ」。どちらにも良い点・劣る点があります。製作時間に費用、仕上がりのイメージその他もろもろ。条件に合った方法で生産をご検討して頂ければと考えています。