第六十二回。【そのた解体】こんな古い真空成形品のPOPをみっけ ビートルズがやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ!
実物をバラしながら仕様を確認していく「解体シリーズ」 その新シリーズ。初めて成形品の造形物を、販促物を製作する。どういうものを揃えて、どういう仕様にしたらよいか分からない。ならば、先人のまねをしてみることを勧める。もちろん、まねて良いこと悪いことは存在する。しかし、先人がこの成形品をどういう意図で設計し作製したのかを理解することはとても有意義なことだと思う。そんな気持ちをこめて始めることにした【そのた解体】シリーズ。
これいつ作ったの?場内を整理していて見つけたバキュームPOP。わたしは作っていないし、作っているのを見たこともない。少なくとも30年以上の前の成形品であることは間違いない
レコードの販促品かと思いきや、TOSHIBA AV(Audio&Visual)という表示がある。ネットでも調べてみたが、この販促品を画像も見当たらない。本当にいきなりやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ!である。
全体としての高さはないが立体感はとても感じられる。黄ばんで汚れてしまっているが、それも今となっては味になっている。
左右対称の成形品を前・後で貼り合わせている。
この黄ばみから見て、材質は塩ビだろう。材質を確かめるために、わたしはよく端を切って燃やすのだが、この成形品はさすがに切り刻む気がしない。
第三十二回。【パッケージ解体】マインドウェイブ「 Peta Roll」選んだ理由は紙フックともうひとつ。塩ビという材料が使われていた
フォルクスワーゲンビートルに乗り込むように、4人のメンバーが印刷されたものが厚紙の両面印刷で挟み込まれている。なぜ、ここだけ紙を使ったのだろう?後のセットも手数が増えるのに。
絵柄に凹凸をつけないとしても加熱成形(=真空成形)する以上、元の絵柄に変形は十分ありえる。4人の画像を使うにあたってこのあたりが厳しく条件付けされたのかもしれない。顔が少しでも変形したNGとか。
印刷方法はシルク印刷。網点の粗さで分かる。当時はピーチコート(成形用合成紙・生産終了)もまだ発売されていなかったかもしれない。真空成形との組み合わせにシルク印刷を使うのは自然の流れ。黒色は使わず、紺色版の網点の違いで濃淡を作ることで色数を1色稼いでいる。
ピーチコートは多少の乾きづらさはあったが、一般的なオフセット印刷機で刷ることができた画期的な成形用合成紙だった。中芯部分の樹脂は塩ビとPSが用意され(のちにPSのみに)成形性も抜群によい材料だった。現在はプラスチックに成型用オフUVインキの組み合わせに変わっている。
第二十九回。【伸びーるインキ】真空成形には普通のUVは使えない。
パッケージ以外の真空成形品を実物をバラしながら仕様を確認していく【そのた解体】の1回目。解体と言えもったいなくてバラすことができなかったビートルズのPOP。
やっぱりバラせないよ。
真空成形品を使ってみようよ!
- ‘これから’という元気なお客様とのお取引も大切にいたします
- むずかしい専門用語は使いません。分かりやすい仕事をめざします
- 真空成形品導入の際にネックになりがちな、型の製作費用の節減をめざします
- 限られた時間の中で丁寧な仕事をめざします。お客様へ安心感のご提供を志しています
- 前の記事
第六十一回。【おめんを語ろう。その五】彩色カバー編 2020.09.26
- 次の記事
第六十三回。【パッケージ解体】最速えんぴつけずり その名も「2枚刃」表裏から刃がみえるブリスター 2020.10.24
コメントを書く