第五十八回。’紙のお面を1枚作った時の費用と時間を教えて ’というメールに対して冷たいわけ。
このようなメールを年に一、二度頂きます。
氏名もなし、文章の雰囲気から中高の学生さんかなぁと思っています。
好きな芸能人のコンサートやオフ会に持って行くのでしょうか。
恐らく潤沢ではない予算の中で何とか作りたいと思って連絡をしてきてくれるのでしょう。
冷たいようですが、わたしはこんなふうに応えています。
今回はその作り方、自分はどうやって作っているかを以下の流れでお話します。
・用意するもの
・見栄えのよいものを作るために気を使いたいこと
・用紙もプリンターも用意できない場合の作り方
手持ちの予算でこの世に1枚だけ、お気に入りの紙のお面を作ってください。(*^^*)
目次
紙のお面を数枚自作する方法。
まずその前に、先程お話した「冷たい返答」の理由です。
冷たい理由。
それは仕事として「紙のお面を1枚」請け負うとしたら、前述の費用・時間では全くできないことが分かっているからです。
間違いなく、費用は数倍ではおさまらないでしょう。
仕事である以上、ちゃんとした機械を使います。
そして、加工している以上の時間をその準備に当てることになります。
今まで多くの紙製をお面を作ってきたからこそ、その費用がわかります。
プラのお面の場合は、こういう返事はしません。(ただし、最低ロットを設定)
紙のお面は自分で作れる余地があるからこそ、こういう話をしています。
用意するもの。
ここに上げたモノは、比較的身近にあると考えています。
・用紙
・プリンター
・カッター
・千枚通し
・用紙
1つ目は用紙です。
厚紙になります。
紙のお面には「コートボール 310g/㎡」をよく使います。
裏面は表面は白色、裏面はねずみ色の安価な用紙です。
厚みは0.4㍉程度です。
これに準ずる紙は100均でも売っています。
例えば、ダイソーならば「A4厚紙両面白色(8枚入り)」「美濃判厚紙 両面白色(5枚入り)」「A3厚紙両面白色(4枚入り)」とあります。
厚みは順に0.5㍉、0.5㍉、0.58㍉となっています。
セリアでは「白ボール紙」として販売しているようでした。
・プリンター
2つ目はプリンターです。
できる限り厚い紙を通せるものが好ましいのですが、家庭用プリンターですと名刺やはがき用の用紙の厚みが推奨でしょうか?
その場合は、表側を別紙でプリントして先程の厚紙とのりで貼り合わせるという方法を取ればよいと思います。
・カッター
3つ目はカッターです。
お面のカットラインは圧倒的に曲線が多いですから、デザインカッターや細工カッターがあればよりきれいに仕上げることができます。
デザインカッターに関しては刃をはめるだけのものではなく、ねじでとめる仕様のものの方がよいと思います。
厚紙を切るとなるとやはり力を入れます。
その時に「はめて+とめる」方式の方がグラグラせずに安定して切り抜くことができます。
カットする際に下に敷くもの「カッターマット」があると滑りづらくなりますし、何よりも机にキズをつけずに済みます。
・千枚通し
外周をカットした後に輪ゴムやゴム紐を通す耳穴をあけるために使います。
単体ではお持ちではないかもしれませんが、ミニドライバーセットがあればその中に含まれていることが多い工具です。
見映えのよいものを作るために気を使いたいこと 。
各工程の作業でここは気をつけた方が仕上がりが良くなると言うことをいくつかお話します。
これらは全てわたしが失敗して気づいたこと、実際にやってみて正解だったことになります。
・専用でない用紙にプリントする場合はしっかり乾かす
紙のお面の内々のイメージ出しに、わたしはコートボールという厚紙に直にプリントする方法を使っていました。
運よく手元にそのようなことができるプリンターがあったのですが、インク自体は家電量販店で売られているごくごく普通のものでした。
このコートボールという用紙の乾きがあまり良くないのです。
「印刷用にコート」されているならばインクジェットでも普通にプリントできるだろうと当たり前のように思っていましたが、それが間違いでした。
プリントしてすぐに使用するとなんだかベトベト、キズも多くついてしまいました。
使用するプリンターに合わせて作られた専用紙以外のものを使う場合には、乾燥も含めて気をつけることが多いと分かりました。
耳穴の数と位置
横に長い紙のお面の耳穴の話です。
この紙のお面は輪ゴムではなく、プラお面と同じゴム紐を使いました。
ちなみにゴム紐も手芸用品店で購入できます。
さて、このお面は全体の寸法自体が大きく、かつ横に長いお面でした。
初めに設定した耳穴(=ゴム紐穴)が白丸の部分。
この両端にゴム紐を通すと、被っている人の顔からかなり離れて結ばれることになります。
結果、顔とお面との間に大きな隙間が出来て、つけた時にお面が下がってしまいました。
そこで両端の穴の距離を縮めることにしました。
しかし単に内側に入れただけでは、お面の上を通過するゴム紐が目立ってしまいます。
そこで穴を縦に二個ずつにし、裏側から下の穴を通して紐を表に出して次に上の穴から裏に戻す。
加えて裏に戻したゴム紐を反対側の上の穴から表に出して下の穴から裏に戻す。
という方法を取りました。
お面の上を通過するゴム紐は赤丸-赤丸だけとなり、目立たなくなりました。
このゴム紐を通す方法は業界ではよく行うやり方なのですが、思いの外お客様に喜んで頂いたことを覚えています。
用紙もプリンターも用意できない場合の作り方
近くに100均なんてない、そもそもプリンター自体が手元にないということも大いにあります。
そんな場合はオンラインでプリントサービスを行っている業者さんに相談してみてください。
小ロットに対応しており、しっかり体制が整っているサービスならば思いの外、費用はかからずに済みます。
キンコーズに問い合わせをしてみた。
ためしに「駅近ビジネスコンビニ」のキンコーズに問い合わせをしてみました。
プリント2枚にプリント無し2枚の費用を聞いてみる。
キンコーズで取り扱っている一番厚い用紙が256g/㎡で、1枚ものにしては薄い。
そこでプリント有り、プリント無しで同じ用紙を購入させてもらう費用を聞きました。
データーはオンライン入稿し、出来上がったものを宅送してもらいます。
そして自宅にてプリント有りと無しを貼り合わせ、カットするという作り方です。
プリント有り無しを各々2枚ずつにしたのは「カットなど失敗する可能性があるので予備」・「厚さを調整するための予備」を考えたからです。
お面のサイズはA4(297x210)の用紙で入稿データーが収まるものとしました。
紙のお面でよく使うコートボールの厚みが310g/㎡なので、貼り合わせを考えると155g/㎡~の用紙を考え、マシュマロCoC 160(186.1g/㎡)を選択しました。
入稿データー形式はPDF。
聞けば、PDF形式以外の入稿データーは手数料として別途2200円かかるというので要注意。
結果、プリント・用紙代だけならば1000円かからない。
電話口でのやり取りになりましたが「同原稿でプリント有り2枚+プリント無し2枚」で1000円はかからないという話でした。
後は自宅までの送料が別途かかるということでしたが、できるだけ近くのキンコーズに入稿すればA4サイズの紙が4枚だけですから多額の費用はかからないでしょう。
制作時間は完全原稿ならば翌日発送。
入稿データーに不備がなければ時間によっては当日発送も可能と聞きましたが、翌日発送と考えれば間違いないでしょう。
この時点で弊社にご依頼頂くよりも、費用・時間でお得状況になっています。
紙のお面1枚ならば、自作が費用も時間もお得なのです。
ここまで、紙のお面を1枚自作するための部材の購入方法や作り方をご説明しました。
最後にもう一度要点をまとめてみます。
「冷たい返答の理由」
・1枚と言えども業者に任せれば費用も時間も思いの外、必要となる
「自作をするために用意するもの」
・用紙
・プリンター
・カッター
・千枚通し
「見栄えのよいものを作るために気を使いたいこと」
・専用紙以外のものを使う場合には、乾燥も含めて気をつけることが多い
・横長のお面の場合にはゴム紐穴の数と位置を考えることで見栄えもつけ心地もよくなる。
「用紙もプリンターも用意できない場合の作り方」
・オンラインサービスを利用する。
こう見て行くと「紙のお面を1枚作るならば」自作にしろ、自己手配にしろ、ご自身で何かをすればするほど費用と時間はお得になるはずです。
それでは「紙製のお面を1枚作りたい」と考える中高学生(?)のみなさんが、この世に1枚だけの、最高にお気に入りのモノを、予算内で手に入れられることを願っています。
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