第十六回。真空成形でよくおきる現象【しわ】足りても出るし、足りなくても出るし。
これまで、成形を行う上で オペレーターが気を使う 仕様や現象をいくつかあげてきました。
逆勾配・逆テーパー、シリコンムラなど。
わたしは、「逆」絡みは図面の段階から用心していました。
シリコンムラは、これはある意味 ❛運❜ 。
しわは「え、出ちゃうの」という場面がありました。
初めての型を成形する時などはまず、しわの有無を最初に確認していたような気がします。
わたしが現場で機械を動かしていた時に気にした現象の一丁目一番地。
今日は、「しわ」の話です。
しわはどんな現象?
見た目は、シャツのしわ、目尻のしわと同じようなものです。
こういう形状のものが、「傾斜の立った鋭角な角の部分」や「間口が狭いわりに深く落ち込んでいる部分」などに生じる時があります。
しわの種類。
このブログは、真空成形に関してわたしの私見・経験から得たことを元に書いています。
ただ、大きな間違えがないかを事前にネットなどで調べてはいます。
今回も「しわ」に関して調べてみました。
恥ずかしながら、初めて知ることがありました。
呼び方の違いはあるものの、種類があるとは知りませんでした。
ウエブ(Web)
雄型(凸)で成形をした時に生じるしわを「ウエブ(WEB)」と呼ぶそうです。
下の画像の青いラインの部分が、そのウエブです。
ブリッジ(Bridge)
雌型(凹)で成形をした時に生じるしわを「ブリッジ(Bridge)」と呼ぶそうです。
下の画像の赤いラインの部分が、そのブリッジです。
わたしは、しわの別称がブリッジだと思っていました。
つまり、上記のウエブもしわだとかブリッジだと呼んでいました。
狭い範囲での話ですが、同業者と話しても型屋さんと話してもウエブという言葉を聞いた覚えがありません。
覚えていないだけかもしれませんが。
しわが生じる原因。
しわの出やすい形状というものはあります。
「傾斜の立った鋭角な角の部分」や「間口が狭いわりに深く落ち込んでいる部分」には、確かにしわが生じやすいと思います。
角を丸めてやったり、間口を広げるなり、深さを浅くしてやればしわも生じづらくなります。
ただ、大きなくくりで言うと、加熱した材料が「足りても出るし、足りなくても出るし」ということが、しわの大きな原因になっているのではないかというのがわたしの見解です。
あくまでも、わたしの考えです。
「ウェブ」凸型の場合。
凸型の場合は、ひとの目尻のしわと同じようなものだと思っています。
つまり、たるみ。
加熱された材料が柔らかくなった時点で、成形に必要以上に足りてしまっている。
加熱のし過ぎでもしわが生じるのは、この理由だと思います。
しわが出た時に応急処置的に使う手なのですが、型にブロックのようなものを貼り付けます。
効果的なのは、しわを挟んで両側につけてみる。
ブロックのようなものをつけるということは、そこを成形させるということです。
つまり材料を使うということで、たるんでいる材料を消費する、引っ張るということになります。
場合によっては、成形部分をぐるっと1周ブロックで囲んでしまうこともあります。
「ブリッジ」凹型の場合。
「第三回。いきもの同様?型にもオスとメスがある。」でこう書きました。
メ型の場合、間口の部分の材料量を使って凹の壁面・底面部分をおおうイメージです。
と言うことは「間口の面積<<壁面+底面の面積」となってしまうと成形が完成せず、途中で止まってしまうという現象がおこります。
イメージしてください、それが先程の赤いラインです。
しわを出さないようにするには、形状を変更できれば越したことはありません。
しかし実際はそうできることは少なく、プラグで押し込んだりする方法などを使ってしわを取ることになります。
プラグに関しては、凸型(ウエブ)の場合にも使用します。
押し込むというよりは、抑え込むというイメージでしょうか。
次回はまた実物紹介をしたいと思っています。
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