第九回。【パッケージ解体】パイロットの「PlayBorder」、この曲線はどうなっている?
![第九回。【パッケージ解体】パイロットの「PlayBorder」、この曲線はどうなっている?](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/05/playbordeアイキャッチ2r.png)
【パッケージ解体】シリーズ。初めてパッケージを製作する。どういうものを揃えて、どういう仕様にしたらよいか分からない。ならば、パッケージの先人のまねをしてみることを勧める。もちろん、まねて良いこと悪いことは存在する。しかし、先人がこのパッケージをどういう意図で設計し作製したのかを理解することはとても有意義なことだと思う。そんな気持ちをこめて始めたこの【パッケージ解体】シリーズ。
記念すべき、初回はスライドブリスター。おそらく、『よくよく目にする真空成形品ランキング』なるものがあるとすれば、常時トップ3を飾る代物だろう。
![文具売り場](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/文具売り場.jpg)
今どきのパッケージを見るには、ホームセンターに行くのが一番。パッケージにかぎらず、ここは真空成形品の宝庫だ。今回もその掟にしたがい、近くの島忠ホームズに向かう。今回の目当ては「スライドブリスター」。ならば、いの一番に向かうのはここだ。文具売り場。
![ペン売り場](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/ペン売り場-1.jpg)
まさにところ狭しと並ぶ、スライドブリスター。稲麻竹葦。
しかしこれだけ吊り下がっていると、どれを選ぶかまよう。修正テープからシャープペンを抜け、ボールペンコーナーへ。そして、また戻る。ん?この曲線!思わず茂みに手を入れる。PILOT製シャープペンシル「PlayBorder」
・PILOT「PlayBorder」
グリップが3つに分かれて組替え自由!ボーダー柄のグリップを採用した楽しいドクターグリップです。
「ドクターグリップCLプレイボーダー」は、3つに分かれたカラフルな内グリップを、組み替えたり交換したりして、お気に入りの組合せを楽しめるドクターグリップです。ボディカラーは、黒をベースとしたツートンタイプと、柔らかな色合いのパステルタイプ、明るいビビットカラータイプの計13色展開。パイロット独自のフレフレ機構を搭載し、ペンを振るだけで簡単に芯を送り出すことができます。
商品名の「プレイボーダー」は、”ボーダー(リング状の内グリップ)を組み替えて遊ぼう!という意味を込めてネーミングしました。―PILOT 「ドクタークリップCL Playborder 」より
![集中線入りplayborder](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/集中線入りplayborder.png)
実は、売り場で考えた。曲線の説明するには、この「PlayBorder」と比べて見せるものが必要になってくるだろう。そこで選ばれたのは「MONO-CC5」。当て馬にしてしまい申し訳ないが、この製品の名誉のために言う。このブルーは素晴らしい。思わず買ってしまった。
![普通のスライドブリスターの折り曲げ部分](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/普通のスライドブリスター2.png)
ごくごく一般的なスライドブリスターの台紙差し込み部分、つまり裏側に折り曲げられた部分の折り曲げ線は真っすぐである(赤いラインのところ)。これは曲げ機械の構造上、そうなってしまう。
初めこの「PlayBorder」を見た時は、熱圧着式のブリスターかとも思った。熱圧着式ならば折り曲げる必要がなく、台紙の仕上がりラインに曲線があっても何ら支障がない。しかし、見えるはずの「のりしろ」がない。
ちなみに熱圧着式ブリスターとは台紙の表面にのりを引きをし、製品サンドイッチする形で台紙と成形部分をくっつけてしまうパッケージの形態を言う。台紙の裏側から加熱することによって、のりを溶かしくっつけてしまうという訳だ。
![この曲線はなんじゃ?](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/この曲線はなんじゃ?.png)
じゃ、このこの曲線はなんじゃ?裏面をみることにしよう。
![playborder裏側](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/playborder裏側.png)
画像を撮る際に、安定させるためにマッチ箱を両側に入れた。たまたま手にしたのが霊園のマッチ箱。線香を買うたびについてくるこのマッチ。数本必ず残るために捨てるに捨てられず持ち帰り、いつのまにか手に届くところに山積みになっている。
ちょっと、待て!おおおおー、なんてことだ。今日、三度目の集中線だ!
![](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/鎌倉霊園マッチ箱3.png)
すごいことに気づいてしまった。「PlayBorder」には全く関係ないことだが、とんでもない発見、気づきなのだ。両側に入れた霊園のマッチ箱。片方には印刷が入っており、もう片方は表裏無地なのだ。
![マッチ箱の表裏。印刷があるものとないものとがあるなんて。](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/マッチ箱の表裏.png)
こんなことがあるなんて。参り続けて40年以上。いくつになっても、気づきはあるのだ。御仏のお導きとはこのことだ。
心を静めて、「PlayBorder」にもどろう。
![ブリスターの側面](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/ブリスターの側面.png)
なるほど。折り曲げは左右の二か所。下辺は折らず、スルー状態。台紙を倍以上の長さにして、表面に折り返している。
![PlayBorderスライドブリスター展開](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/展開.jpg)
展開はこんな感じ。表側に折り返した時に、製品部分が隠れないように台紙のその部分がくり抜かれている。展開してみて感心した。台紙とブリスターとの留めの仕方である。
![台紙とブリスターをとめるシール](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/台紙とブリスターをとめるシール.png)
このシール。展開してみる前は、このシールだけで台紙の表面に折り返した部分とブリスターとを留めていると思っていた。が、しかし、しかしなのだ。二つ上の画像をよくよく見て欲しい。
![台紙とブリスターをひっかけ部分](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/展開ひっかけ部分.jpg)
青線で囲んだ台紙の出っ張り部分が、ブリスターに差し込めるようになっているのだ。
![台紙とブリスターの2段どめ](https://jfyilog.isseigi.com/wp-content/uploads/2020/06/台紙とのとめ2.png)
デザインとパッケージとしての機能。ほんとうによく考えられている。長くこの業界に携わってきたが、分野が違えば全く知らないこともある。今回が初めての実物紹介。この一回だけでこれだけ勉強になった。これからが楽しみになってきた!
第八回。【ブリスターパック】なんでもかんでもブリスターと呼ぶのはちょっと違う。
真空成形品を使ってみようよ!
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