第五回。真空成形用プラスチックの規格サイズ-【平板編】くせのないやつは使いやすい。
前回は、ロール材のお話しをしました。
巻かれた状態で納められる成形材料をロールと呼びました。
四辺をカットされた状態で納められる材料、平板材が本日の題目です。
目次
平板はどんな時に使う?
使用上・加工上、巻きぐせがついていたら困るものは平板を使います。
平板とは呼ばず、カット材と呼ぶ人が多いかもしれません。
私はカット材のことを「平板」と呼んでしまいます。
それは前任者がこう呼んでいた影響が大なのですが、やはり`平らな状態で使いたいプラスチック‘という意味合いを意識してきたからだと思います。
最終形態として、平らな状態が必要なものには平板を使う。
主に断裁加工や抜き加工で終えるもの。
例えば下敷き、例えば暗記用シート、例えばスマホの保護フィルム。
抜き加工後に貼り作業が入りますが、透明箱なども平板を使います。
印刷を行いたいものには平板を使う。
グラビア印刷のようにロールを使うもののあります。
しかし、枚葉機と呼ばれるオフセット印刷やシルク印刷、そしてインクジェットなどでは平板を使う必要があります。
弊社では「印刷+真空成形」の加工方法で、立体ポスターやお面を制作しています。
平板は印刷をするために使っていると言ってもよいくらいです。
厚くて巻けないから平板になる。
材料が厚くなると戻りが強くなって、巻くに巻けなくなります。
私自身は1.5ミリ厚までの材料はロールで成形をしたことがありますが、それ以上の厚みのロール材は扱ったことがありません。
試作などでも多い枚数の成形にも平板を使う。
少ない枚数で真空成形品を作る時には、試作機など単発成形機で行うことが多いと思います。
サイズの合ったベースが機械にセットされていれば、その上に型をポン付けしてすぐに成形をすることができます。
少ないない枚数ならばロール材から切ったものを使用しますが、枚数が多くなるとカットするにも時間がかかりますし、ロールの巻癖のセットのしにくさが面倒になったりします。
そんな時は、初めから使うサイズにカットしてもらった平板をよく使います。
成形工場は、取り扱う材料厚によって設備が異なる。
真空成形工場は、取り扱う材料の厚みによって持っている設備が異なってきます。
成形工場には、うすもの屋とあつもの屋がある。
薄い材料を扱う工場は‘うすもの屋’、厚い材料は‘あつもの屋’とも呼ばれます。
うすもの屋は連続・単発機を使って、0.2~1.0ミリ程度までのロール材料を主に成形をします。
作っているものはパッケージやトレイ、玩具など。
あつもの屋は単発機を使って、2ミリ3ミリ以上の平板を主に成形します。
厚くしっかりとした成形品。
おうおうにして、大きなもの。
製品を容れるパッケージを作るのがうすもの屋とすれば、製品自体を作るのがあつもの屋と言ったイメージでしょうか。
1~2ミリに間はどちらでも成形する厚みでしょう。
成形機の大きさも違えば、カットする方法も異なります。
うすもの屋は「刃で抜く」、あつもの屋は+「切り取っていく」という感じだと思います。
私は、ほぼうすもの一本でやってきました。
経験の浅いところはボロが出ますので、うすもの屋の視点から平板の規格サイズを話します。
うすもの成形屋が使う、平板の規格サイズはセル判・L判・36判・M判です。
セル判は0.2~1.0の間の厚みを一番持っている規格サイズ。
セル判は、1460×670ミリ。
今ではほとんど使われなくなった、セルロイドの定尺から来ているのでしょう。
0.2~1.0の間の厚みを一番持っているのが、このセル判だと思います。
このサイズを2裁(730×670)、3裁(486×670)にして印刷成形の定番サイズとしています。
話は少しそれます。
`日本唯一のセルロイド職人′と自らおっしゃっている方が、弊社のお客様でした。
セルロイドの成形品の代替として弊社で塩ビなどの成形をさせて頂いていました。
`でした′というのは、現在は本業は引退されています。
ご趣味でセルロイド成形品の言い伝えをされていらっしゃいますので、よかったらその方のサイトもご覧ください。
L判は用紙の46判とほぼ同サイズ。
L判は、1100×800ミリ。
用紙のL判(1091×788ミリ)とほぼ同寸です。
オフセットで印刷する時に使いやすサイズです。
36判は3尺×6尺のサイズ。
36判は、910×1820ミリ。
1尺を約303mmとして、3尺と6尺のサイズということになります。
M判は1メーターの2メーター。
M判は、1000×2000ミリ。
主に1.0ミリ以上の厚みの材料によく見られる規格です。
強度の比較検討をするため、時に成形をすることがありました。。
材料面積からどれだけ経済的に数がとれるかを考えることは大事。
「材料面積からどれだけ経済的に数がとれるかを考えることは,仕様を決める大きな判断材料になりえる」と前回のロール材の話の時に申し上げました。
材料の形態は異なりますが、型をどう並べていくつ取るという考え方は同じです。
重複しますのであらためてご説明はしませんが、一点だけ。
ロール材を使用する一般的な連続機は、型をセットするベースの内寸が幅600、流れ800~1000ミリほどでしょう。
この中で型の取数を考えます。
連続成形機の場合、成形型を固定しているベースの流れサイズの中で材料の送り寸法が変更できます。
一方、平板を成形する単発機も同様にベースが型の取数に影響を与えます。
ただ、連続機と違って単発機を使って手差し成形をする場合、ベースサイズが材料サイズに直結します。
シートからの型の取都合は、まずどのベースを使うのかで取り数が変わってきてしまいます。
ご注意ください。
次回は離型剤(シリコン)の話をしようと思います。
真空成形品を使ってみようよ!
- ‘これから’という元気なお客様とのお取引も大切にいたします
- むずかしい専門用語は使いません。分かりやすい仕事をめざします
- 真空成形品導入の際にネックになりがちな、型の製作費用の節減をめざします
- 限られた時間の中で丁寧な仕事をめざします。お客様へ安心感のご提供を志しています
- 前の記事
第四回。真空成形用プラスチックの規格サイズ-【ロール編】巻いてあるから速いんだ。 2020.03.16
- 次の記事
第六回。【離型剤その1】外し、離して。 2020.05.15
コメントを書く