第十七回。【パッケージ解体】YONEXの「ウェットスーパーグリップ」今日は熱圧着。

【パッケージ解体】シリーズ。初めてパッケージを製作する。どういうものを揃えて、どういう仕様にしたらよいか分からない。ならば、パッケージの先人のまねをしてみることを勧める。もちろん、まねて良いこと悪いことは存在する。しかし、先人がこのパッケージをどういう意図で設計し作製したのかを理解することはとても有意義なことだと思う。そんな気持ちをこめて始めたこの【パッケージ解体】シリーズ。
第八回で「ブリスター」パックを、第九回で「スライド式」ブリスターをやっていたので、時を置かずに「熱圧着式」ブリスターを紹介したいと思っていた。

これは、わたしのアーチェリーの道具。ハンドルと言い、上下にスキーの板のようなもの(リム)を取りつけて、矢を飛ばす。このグリップにすべり止めのテープを巻きたいと前から考えていた。それゆえ、今日の見本は実用をかねて、ヨネックス製「ウエットスーパーグリップ」。

シンプルな「熱圧着式」のブリスター。スライド式のブリスターと異なり、成形品と台紙はべったりくっついている。中の商品に、より触られないようになっている。
ちょうどよい機会なので、熱圧着式とはどんな式なのかを説明したい。急ぎ図を作ってみた。細かいところに間違えがあったとしても、ご容赦を。大筋は大丈夫だろうから。

下から、(茶色)-治具・(水色)-成形品・(黒色)-商品・(ウグイス色)-位置決めピン・(赤線)-樹脂用のり・(むらさき色)-台紙・(黒線のみ)-熱盤。
成形品を裏返して治具の内側にセット。商品を入れて台紙をかぶせ、ピンの内側にセット。熱盤が降りてくる(治具が上がったか?)。台紙にはあらかじめのりが塗布されている。熱盤でのりが溶けて、商品をはさむ形で成形品とくっつく。ピンはばねのように押されて縮む(はず)。

台紙裏面にミシン目あり。台紙を切り離し、商品を取り出しやすくするのが主たる目的。加えて、他にも大事な役目もになっている。

熱盤で台紙に加熱する際に、成形品と台紙の間に取り残された空気も温められ膨張する。内圧が高まれば、成形品は台紙からはがれようとするのが自然の摂理。実はこれで失敗した苦い経験が、わたしにはある。このミシン目、その膨張した空気を外に出す役目をになっているという訳だ。

熱圧着式のブリスターでよく見られる「台紙の反り」。台紙の塗られたのりを溶かすために加熱をするわけだが、その際にどうしても台紙に反りが出てしまうのだ。
今日は「熱圧着式」の王道のようなパッケージだった。

巻いてみた。初めてにしては、まぁまぁの仕上がり。握った感じもしっとり、いい。後半のくずれに効果がありますように。
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