第六十八回。【パッケージ解体】蛇腹の台紙 北星鉛筆 「大人の鉛筆」こんなパッケージを見たことなかった。
【パッケージ解体】シリーズ。初めてパッケージを製作する。どういうものを揃えて、どういう仕様にしたらよいか分からない。ならば、パッケージの先人のまねをしてみることを勧める。もちろん、まねて良いこと悪いことは存在する。しかし、先人がこのパッケージをどういう意図で設計し作製したのかを理解することはとても有意義なことだと思う。そんな気持ちをこめて始めたこの【パッケージ解体】シリーズ。
「この台紙、蛇腹だぞ」。買って帰って開いてみるまで、パッケージのこの形状は想像ができなかった一品。今日は紙製のパッケージ、北星鉛筆株式会社「大人の鉛筆」。
大人の鉛筆
子どものときに慣れ親しんだ鉛筆の感覚。大人にも、もう一度鉛筆ならではの「書く楽しさ」を思い出してほしい…… そんな想いから生まれた“鉛筆屋”による“鉛筆好きのための筆記具”。これが、「大人の鉛筆」のコンセプトです。
この落ち着いた風合い。クラフト用紙調の台紙に藍色の製品がとても映える。店頭で思わず手にしてしまった。 この段階では「組箱+くり抜き」の仕様だろうと思っていたのだが、横にして見てみて驚き・・。
幾重にも重なった板紙。しかし、この時点でも板紙をカットしたものを何枚も重ねているのだと思っていた。それがまさかねぇ→。
北星鉛筆「大人の鉛筆」製品一式。芯の太さ2ミリの極太シャープペンシル1本・芯削り器1ヶ・OPP袋1枚にモコモコした謎の台紙1枚。
シャープペンの芯はこの通り、極太。「より黒く・よりきれいに」書けるように作られた国産の芯らしい。このパッケージ解体でもいくつかのシャープペンを取り上げたが、’黒く’とうたった製品はこれが初めて。さすが、鉛筆に特化した文具メーカーだ。
この芯先を削るのがこの謎の個体。想像していた ’鉛筆削り’ とは見た目が異なる。北星鉛筆の製品紹介を引用して説明する。
大人の芯削り器
刃ではなく、独特な形の板バネを用いたオリジナルの芯削り。4方向から削ることで、回転させるのではなく左右に回すことで芯を削ることができます。昭和35年に開発された芯削りは、改良を加えられ、今でも「大人の鉛筆」に欠かせないアイテムです。
→そして、これがまさかの蛇腹の台紙。くり抜きがあるため実際の面積はさほどでもないのだが、「蛇腹にするとこんなにも印刷をする部分が増えるのか」という変な新鮮さを覚える。裏面には印刷はないので、印刷費用はあくまでも(特1+0)色分だろう。
これだけしっかりした板紙を使うとなると折戻しもさぞかし強いだろうと思いきや、OPP袋にふくらみもせずしっかり収まる。山谷で折筋とミシン目と使い分けて、うまい具合に筋を入れている。
OPP袋の閉じの折り返しの部分。斜めに切れ込んでいるために、閉じた時に表からはみ出しが見えづらい。常套手段なのかもしれないが、ふだんプラの成形品ばかりを扱っていると、こういうところに感心してしまう。
この蛇腹の台紙。異形ゆえにセットはどんなもんだろうかと思ってしまう。現場にいるつもりで実際にセットをしてみた。
蛇腹の厚みの分だけ、OPP袋に入れる際に多少手間取る。しかし、一度入ってしまえば、拍子抜けするほどスルッとセットができてしまう。前述の通り。台紙の折筋・ミシン目の具合がよく、この蛇腹台紙が膨らまないからである。
今回の「大人の鉛筆」のパッケージを解体してみて。
パッケージ解体を行うために、Loftやハンズを覗く。店の端から端までパッケージを見歩く。多くの製品が本当にきれいに仕上がっていて感心する。
一方、面白いパッケージを見つけることは本当に難しい。パッケージ解体を重ねることに難しくなった。
今日は帰ろうと思っている中、目当てのパッケージを見つけた時の喜びは文字では書き表せない。口角が上がっているのが自分でも分かる。
‘ なんだこのパッケージは?’ 久しぶりに封を開けることをワクワクさせてくれた、北星鉛筆「大人の鉛筆」だった。蛇腹とはねぇ・・。
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