第四十五回。【パッケージ解体】IKEYA「PLATTBOJ」 グローバル企業ゆえの苦肉の策?熱圧着+スライドの組合せ
【パッケージ解体】シリーズ。初めてパッケージを製作する。どういうものを揃えて、どういう仕様にしたらよいか分からない。ならば、パッケージの先人のまねをしてみることを勧める。もちろん、まねて良いこと悪いことは存在する。しかし、先人がこのパッケージをどういう意図で設計し作製したのかを理解することはとても有意義なことだと思う。そんな気持ちをこめて始めたこの【パッケージ解体】シリーズ。
先日、久しぶりにIKEYAに行って来た。嫁さんの用事に付いていったのだが、ちょうど良い機会なのでグローバル企業の「脱プラスチック」具合を見てこようと考えた。
このような企業方針が書かれているパネルが壁に貼られている。さて、どんなものかと示された進路に沿って店内を進んでみた。
延々と続く家具売り場。これはこれで楽しい。このブログに上げられる画像。背景に障子が写ることが多々ある。和風テイスト(純粋な和室なのだが、こんな言い回しをしてみたかった)な作業場と北欧の香り漂う摸擬ルームの対照が新鮮なのだ。
向かって左手の商品は、マイクロUSBコード。厚めの台紙にタイラップどめオンリーのパッケージ。右手は、USB充電器。外周をウェルダー加工で完全に密封。商品によってプラのパッケージが使われている。
電池に関してもアルカリ電池は箱入れ、充電式電池はブリスターと混在している。この差別化は何を基準としているのだろうか?ちなみに、日本メーカーが販売している電池で「箱入り」というのはわたしは見たことがない。
電池のパッケージはシュリンクにしろ、圧着にしろ完全密封がほとんどな気がする。何か基準があるのだろうな。わたしは電池がらみの仕事をしたことがないから分からないのだが。
概してどの売り場でも同様にプラ、非プラのパッケージが混在している。「段階的に無くしていく」ということだが、やはり必要なものとして残るものは多いのではないかと個人的には感じる。
真空成形品のパッケージはもちろん、こんなナイロン袋もプラスチックには変わらないのだから。
さて、店内を散策していてとても気になったパッケージがあった。「プラスチックの使用量を減らす」という方針に照らし合わせるととても気になったパッケージ、製品なのだ。
・PLATTBOJ(プラットボイ)
コイン型リチウム電池・CR2032が8つ入っている製品である。
PLATTBOJ プラットボイ商品情報
リチウム電池, CR2032 3V 8ピース
スチール製 リチウムイオン電池は水銀、カドミウム、鉛を含みません。
このパッケージは興味深い。熱圧着式とスライド式のブリスターを合わせて使っている。
しかも。本体を四つ折りのブリスターにさし込んでいるだけではなく、もう一度下端を熱圧着している(赤線で囲まれている部分)。この圧着は固定のためだけだろうか?私的にはそう思えるが。
熱圧着でとめられた本体を別に用意した4つ折りのスライドブリスターにセットした後、もう一度圧着する。この工程で合っているのか?どなたか教えてほしい。
しかしこの仕様だと、手間がかかっている上に「プラスチックの使用量を減らす」?
「PLATTBOJ(プラットボイ)」パッケージ一式。熱圧着式とスライド式が一体になったブリスター1、説明書1、注意書き1。電池セットに、なぜにこんなに複数のパーツ?
これがその理由。この説明書の大きさ。表裏12ページからなる天地431×左右210㍉。英字からアラビア文字まで全36文字表記の説明書。この説明書をどこかに入れなくてはいけない。
加えて包装にかんする注意事項を背面に入れている。これも恐らく何パターンもあるのだろう。
こんな感じに。この製品は中国で一括生産され、この共通説明と共に全世界に納められていくのだろう。もしかしたら注意書きだけは、輸入されたそれぞれの国々で入れられているのかもしれない。
では例えば電池だけを中国で作り、台紙の生産・熱圧着加工をそれぞれの国で行うとしたら。
三つに分かれている文章を1枚にまとめることができるのだろうか。
問題なくできそうだ。中国生産されたリチウム電池のみを輸入し、それぞれの国で台紙の準備とセット加工を行えば、プラスチック製品を一つ減らすことができるのではないかと思う。それをしていないのは優先すべき事由があって、それが「段階的に無くしていく」ということなのだろう。
この優先すべき事由の順番が、変わるときが遠からず来るのかもしれない?
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