第三十二回。【パッケージ解体】マインドウェイブ「 Peta Roll」選んだ理由は紙フックともうひとつ。塩ビという材料が使われていた
【パッケージ解体】シリーズ。初めてパッケージを製作する。どういうものを揃えて、どういう仕様にしたらよいか分からない。ならば、パッケージの先人のまねをしてみることを勧める。もちろん、まねて良いこと悪いことは存在する。しかし、先人がこのパッケージをどういう意図で設計し作製したのかを理解することはとても有意義なことだと思う。そんな気持ちをこめて始めたこの【パッケージ解体】シリーズ。
11回目のパッケージ解体。おおよそオーソドックスな真空成形品は取り上げてきたような。残すは部品トレイかW型のシェルパックか。W型のシェル?実はこんな名称はないと思う。展開した時にWの文字に見えるため勝手に命名している。
部品トレイは横持ちトレイ。販売店で見ることはまずない。ならばこれはいつかの機会にして、今回はW型のシェルの出物を探しにロフトに出向いた・・はずだった。
結局選んだのは、ふつうのシェルパッケージ。マインドウェイブ製「Peta Roll=ぺたロール」である。なぜにそれを選んだのか?紙フックが可愛らしかったことともうひとつの理由があった。
・マインドウェイブ「Peta Roll=ぺたロール」
ペたロール
「ぺたロール」は、細いセパレーター(はく離紙)が付いたロールシールのようなマスキングテープ。シールがはがしやすく、デザインが一目で分かるので、探す手間が省け、好きな所からピースを使える。また、使用後はマスキングテープのように巻いてコンパクトに保管できる。従来のフレークシールのように、ピースが散らばり、片付けの際に生じるわずらわしさを解消した。商品開封後に本体を収納しておけるブリスターケース付き。テープの粘着部分にほこりなどが付着する心配もなく、きれいな状態で保管しておくことができる。サイズもコンパクトなので、かさばらない。
この製品は、下半分がシェルパッケージ+上半分が紙フックという2パーツの連結からパッケージが成り立っている。
これがもし、一般的なシェルの形「台紙はシェルの中に内包」でパッケージが成り立っていたのなら?。イメージで作ってみたのが右側。
やはり可愛らしさがまったくちがう。この商品の販売ターゲットは女性、特に女子学生ではないかと思う。並べると分かるのだが、可愛らしさ度は比べものにならない。
パッケージを見るポイントに「開けられにくさ」があると思う。今までのパッケージ解体でもこの点を確認してきた。ぺたロールの下半分のシェルペッケージ部分。逆勾配によるカンゴウで上下がパチンと留まるようになっている。
しかし、「開けられない」ということに絶対などない。だからこそ、あと工程でホッチキスやシールによる留めが入れられる。このシェルの場合、紙のフックがその役割を担っている。このフックを破ってまでも中を開けようとは普通は思わないだろう。
さて、紙フックが可愛らしかったのともうひとつの理由。
分かりづらい画像で申し訳ないのだが、ごらん頂きたい。向かって左がぺたロールのシェル、右が前回分解したクッピーラムネ リップのスライド。色の違いにお気づき頂いただろうか?
左側のシェルパッケージの方が青く見えないだろうか?ロフト店内をぶらついていて目に入ったのが、この青さだった。この青さの理由を確認してみる。
透明材料の透明にもいろいろある。昨今、ブリスターをはじめ真空成形品によく使われるプラスチック透明材料にA-PETというものがある。再生品ではなくヴァージンのPETはガラスのようにきれいな透明色である。色味があるとすれば、多少ブラウンかかった透明であるが気にならない。
一方、少々気になる透明もある。青みや黄色みがかかったりしている透明色である。真空成形品がこのような透明色を有していれば、わたしはその材料を塩ビと推測する。
ちなみに、塩ビという素材は他のプラスチック樹脂同様、いろいろな見方ができる素材でもある。
塩化ビニルとは。
ポリ塩化ビニル(ポリえんかビニル、polyvinyl chloride、PVC)または塩化ビニル樹脂とは合成樹脂(プラスチック)の1つで、塩化ビニル(クロロエチレン)の重合反応で得られる高分子化合物である。塩化ビニール、塩ビ、ビニールなどと略される。軟質ポリ塩化ビニルは、ソフトビニール(Soft Vinyl)、ソフビとも呼ばれる。
添加する可塑剤の量によって硬質にも軟質にもなり、優れた耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・耐溶剤性を持つ。また難燃性であり、電気絶縁性である。
1990年代になりポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデンをはじめとする塩素系プラスチックがダイオキシン類の主要発生源と考えられるようになり、社会問題として浮上し不買運動にもつながった。現在ではダイオキシン類は塩素系プラスチックのみならず、塩素と芳香族化合物が含まれる廃棄物の焼却時に不完全燃焼になると発生すると考えられている。対処法として焼却炉の性能向上による不完全燃焼率の低減、分別収集により塩素を含むごみの焼却回避、リサイクル制度の拡充、塩素系プラスチックの使用量削減などが提案されている。また、業界団体からは焼却炉からのダイオキシン類の主要発生源はポリ塩化ビニルではなく食塩によるものとする研究も出されている。
重量比にして塩素が約半分を占めており石油消費量が小さいため、他の石油系プラスチックに比べてポリ塩化ビニルは重量あたりの二酸化炭素排出量が小さく、環境への影響が小さいプラスチックであるという見方ができる。樹脂化学業界団体は「塩化ビニルは製造プロセスにおけるエネルギー投入量が他の炭化水素系樹脂と比較して少なくて済む」「石油消費量が他の炭化水素系樹脂と比較して少なくて済む」「高断熱性で省エネに貢献する」などを主張している。
一方で、一般的な炭化水素系樹脂と比較して化学的性質がかなり異なるため、樹脂を再生利用する際にポリ塩化ビニルが混在していると障害の原因になりやすい。塩化ビニルの焼却ではダイオキシン類の生成を抑える工夫が必要になるため、高炉における還元剤として使用する場合に障害となる例や、ペットボトルの再生の障害となっている例などがある。リサイクル施設ではポリ塩化ビニルと他の樹脂とはX線の透過特性が異なる事を利用して分別している事例もある。
塩ビかどうかを確認する方法のひとつとしてその「難燃性」を利用する手がある。塩ビは他のプラスチック樹脂と比べて燃えづらく・燃え広がりにくい性質を持っている。試しに、ぺたロールのシェルパッケージの一部を切り取り燃やしてみた。(わたしは予備知識があって行っているが、皆さまは絶対にマネをしないこと。)
焦げるが、燃えない。加えて、特有の苦々しい臭いがする。まず間違いなく塩ビだとわかる。
今回この「ぺたロール」をパッケージ解体の対象と選んだ理由は、紙フックを使ったとても可愛らしい仕様になっていたこと。そして最近では、パッケージ素材としてあまり目にしなくなった塩ビという材料を使用していたこと。素材の話をするにはよい対象だと思ったのだ。
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