第十九回。【プラグ】それは第三の型。
先日の【しわ】の回で、しわをふせぐために「プラグ」を使うと話しました。
真空成形の現場では、日常的に使用されるプラグ。
成形型と抜型を必須の二型とするならば、プラグは第三の型と呼べると思います。
今回は真空成形においてなくてはならない加工補助具、プラグについて実際の使い方などを中心にお話致します。
第十六回。真空成形でよくおきる現象【しわ】足りても出るし、足りなくても出るし。
プラグとは。
プラグ(Plug)には、「栓をする」・「ふさぐ」という意味があります。
雌型(凹)にプラグを使用した時は、下の図のイメージです。
ワインの瓶の注ぎ口に栓をしたかのように見えたのでしょうね。
材質は?
木材か合成木(樹脂)、またはその組合せで作られることが多いと思います。
プラグの当たった痕の緩和や、成形型との距離の調整などにネルを表面に貼ることがあります。
形状は?
雌型(凹型)用のプラグ形状
前述のとおり、注ぎ口に栓をするような形になります。
雄型(凸型)用のプラグ形状
下の図のように、成形型の凸部分を逃がすような形状であったり、一枚の板をくり抜いてそのまま使用したりします。
プラグの役割は?
・シート肉厚の調整
雌型(凹型)で成形すると、底部に向かって肉厚が薄くなります。
その場合、プラグを押しこむことで底部、特に底部の隅の肉厚を調整することが出来ます。
つまり強度を出すことが出来ますが、あくまでも調整の範囲です。
・しわ(ウェブやブリッジ)を抑制する
雄型(凸型)に生じるウエブは抑え込むような形で、雌型(凹型)に生じるブリッジは押し込むような形でしわを抑制します。
間口面積に対する過度な深さ(=深絞り)によるブリッジは、シートの伸びが底面まで達することが出来ずに起きるものです。
つまり、その時点では成形型の形状を再現できずに終わってしまっています。
プラグを押しこむことによってブリッジを解消し、合わせて形状を再現することを助けます。
・離型を助ける
真空成形において成形品を型からはずす過程(離型)は、型の下がりとエアーの逆噴射で行うことになります。(成形型が下セットの場合)
離型性の悪い形状の場合、エアーの逆噴射時にプラグを落して型の外周を抑えます。
これをすることによって、エアーを効率よく成形品に当てることが出来、離型を助けることが出来ます。
プラグは第三の型。
「部品トレー」を始めとする成形条件の厳しい製品の分野では、プラグなしでは生産ができないものが多々あります。
それゆえ、プラグは成形型、抜型に続く「第三の型」と呼ばれることがあるのです。
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